更新日時:2023年7月28日
国民の重要な食料資源である水産生物の保護育成と海のゆりかごである藻場の再生事業に取り組まれているライトンコスモ株式会社 松本和弘社長にお話をうかがいました。
松本社長 はい、自社開発の製品です。ハニカム魚礁は、見たとおり正六角形の構造体からなる魚礁の名称です。「ハニカム」というのは英語で「ハチの巣」という意味で、もともと自然界の優れた構造体として存在しています。ハニカム構造は航空機の材料や建築資材にも採用されています。その形状の優れた特質を活かし開発したのがこのハニカム魚礁です。強度が強く、方向性がないのが特徴です。「方向性がない」というのは、例えば四角形の構造物からなる魚礁の設置の際には、設置する方向を考慮しなければなりませんが、この6角形のハニカム魚礁であればどの方向からでも形状が等しいためその必要がないということです。
松本社長 はい、全て社内の技術者が設計を行っています。
大学の水産学科出身の社員、土木工学科出身の社員のタッグで開発・設計をしています。それぞれの、魚・海のことに関する専門知識と構造物に関する専門知識を融合して、製品を生み出しています。
松本社長 製品設置後の調査も、我々自ら行います。船上から水中カメラを操作して撮影し、設置後の様子を調査します。今日も、ちょうど長崎の五島に調査隊が行き、調査をしているところです。実際に調査をし、自社の製品設置の成果を目の当たりにすると嬉しいですね。
松本社長 やはりこういった水中カメラなどで見ると、長崎、特に対馬や、島根の隠岐島の海は、すごいです。設置した魚礁の周辺には魚が本当にうじゃうじゃたくさん居ます。水の透明度も日本海や沖縄の海は素晴らしく、特に沖縄の海はライト無しで120メートルほど先も見えるほどです。普通は海が深くなるとライトをつけなければ見えないのですが、沖縄の海は見えるんです。
-御社が現在一番力を入れられている製品についてお聞かせいただけますか?
松本社長 現在の主力製品は、核藻場礁です。需要も大変多く、おかげさまでたくさんのご注文をいただいています。
この核藻場礁とは、藻場が魚類に食べ尽くされてしまう「食害」を防止するためのものです。最近、温暖化により海水温が上昇したことで南方系草食魚類が北上してきて「食害」を引き起こしています。特に、九州は魚から海藻が食べ尽くされてしまっています。また、人間の経済活動による破壊も進み、年々藻場の繁茂域は縮小しています。
核藻場礁の中では、常に健全な海藻が生い茂っていて、年に一度胞子を放出するのでその周辺にまた新しく海藻が成長します。しかし、自然との闘いなので、その海藻もまた魚が食べてしまいます。魚が食べようとする力、量を「食圧」といいますが、その食圧とのバランスとして、核藻場礁をたくさん設置することで、食圧よりも多くの胞子を飛ばし海藻を生育させれば、藻場を回復させることが出来るのです。この製品を応用して、珊瑚の保護礁にも現在取り組んでいるところです。
これらの環境変化に対する取り組みは世界各地で広がっています。昨年、国際サンゴ礁学会(ICRS2012)がオーストラリアのケアンズで開催されたのですが、弊社の取り組みも保護藻場礁の一成功事例として紹介されました。この製品が今の主力です。
松本社長 事業をしていくにつれ、海に対しての思い、やはり海藻もたくさん生えて欲しいし、魚もたくさん居て欲しい…そうあって欲しいなという思いは強くなりますね。
まだまだ実現していない新しいプランも頭の中にたくさんありますし、常にチャレンジを続けていきたいと考えています。
社名 | ライトンコスモ株式会社 |
所在地 | 〒802-0001 北九州市小倉北区浅野2-1-21 駅西幹線ビル6F TEL 093-551-4648 FAX 093-551-4540 |
代表者 | 代表取締役 松本 和弘 |